■タイトル:シグルイ
■原作:南條範夫 作画:山口貴由
■掲載誌:チャンピオンRED(秋田書店)
■巻数:9巻(以下続刊)
週刊少年誌といえばジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオンの4誌。しかし、少年誌を総称する時に揶揄を込めて三大週刊少年誌と呼ばれることもあり、そういう時にひとつしかないのにエトセトラ的に扱われるのがチャンピオンの立ち位置だったりする。
このメジャーの中で最もマイナーという妙な立ち位置の雑誌は、青少年への影響力や発行部数ではとかく軽視されがちだが、実はとんでもない異色の才能を育む土壌でもある。人気アンケートを無視した(かのように見える)長期連載、読者の需要以上の過剰な展開を常に供給する(かのように見える)一部の漫画など、自由奔放な雰囲気を打ち出すことに積極的ではないが、結果的には成功している。
このような特殊な環境の中、個性的な作風を持つ新人が打ち切りにもあわず、ひたすら独自路線を磨きながらベテランと呼ばれるほどのキャリアを積んだらどうなるのか。その結果、フォロアーさえ存在しない前人未到の地を、ひとり全裸で全力疾走しているようなオリジナリティ溢れる作品が誕生する。それが「シグルイ」である。
本作は南條範夫の「駿河城御前試合」を原作に、山口貴由が チャンピオンREDに連載している作品。残虐無惨時代劇を謳っているように残酷描写は多く、「BOYS BE…」のパンチラほどの頻度で小腸が露出する。さらに、登場人物全員が倒錯しており(いい意味で)、男色の双子が同時に「ぬふぅ」と呟きながら射精したり、小水と涎がダダ漏れの老剣豪がおでこに張り付けた豆粒を十文字に叩き斬る。
読者の心の持ちよう次第でギャグにしか見えないようなシチュエーションを、極めて大真面目に高いテンションで描くことによって、凡百ののギャグ漫画家が到底到達できないような笑いの高みに君臨することに成功している(ギャグ漫画ではないのに!)。
熱い漢たちが臓物を撒き散らしながら命を懸けて戦う。そのような漫画が面白いのだろうか?面白い!面白いのだ!!といった自問自答のナレーションが最高に泥臭くマッチしている、明らかに面白い傑作漫画。